<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>のりちゃんとやんしゃん

つい先日、
祖母が亡くなった。

祖母と言っても父親の祖母なので
オレから見ると曾祖母にあたるわけで
家が遠い事もあり
疎遠になっていた。

疎遠だったとは言え
曾祖母が亡くなったのだから
お葬式には当然参加し、
滅多に会う事のない親戚達とも
数年ぶりに会う事となった。

オレのスペックを書き忘れていたので、
簡単に書かせてもらう。

27歳独身(ばついち)会社員。

この歳で曾祖母が最近まで健在だったのは
珍しい方ではないだろうか。

この話はこの曾祖母のお葬式の為、
親戚で集まった時の話になる。

曾祖母と私が疎遠であったと書いたが、
小学校に入る前(6歳?)の時に
1ヶ月ほど曾祖母の家で一緒に暮らした事がある。

これは父親が家を新築する際に
新築工事に遅れが生じた為、
家の完成前に住んでいたアパートを出る事になったからだ。

曾祖母の家は福岡県の田舎町にあり、
近所にはゲートボール場や長屋の立ち並ぶ住宅街、
何作ってるかわからない畑。

小学校に入る前の好奇心旺盛な少年には
毎日ちょっとした冒険だったのを覚えている。

話を元に戻すと
曾祖母のお葬式では
曾祖母の年齢が100歳手前だっただけに
悲しみに包まれたお葬式というよりは
『曾祖母はすごい!』と褒め
生前はああだったこうだったと、
思い出話をしながら
曾祖母を送る様な雰囲気だった。

お葬式は近所の葬儀場でやったのだが、
親戚一同は曾祖母の家へと場所を移し
思い出話をしながらの宴会をした。

曾祖母の家にあった写真のアルバムを見ながら
懐かしむ親戚達。

オレは曾祖母の思い出と言えば
小学校に入る前くらいの記憶がメインだった為、
アルバムを見ても知らない人の写真ばかりで
やや退屈していた。

その時、

『お、Sがおる!』(Sは父親)

という声に再びアルバムに視線を戻すと・・
なんともDQNな父親の姿が・・

なんで高校に通学するのに白のスーツなんだよw
と、苦笑。

アルバムも古い方から順に見ていたので、
父親の高校時代・・・
成人式・・
と次第に現在に近づいていた。

オレの誕生・・
例の1ヶ月の同居・・・

ここで1枚の写真を見て、
気づいた事があった。

1枚の写真を見て気づいた事というのは、
曾祖母と親しくしていたはずののりちゃんが
お葬式に来ていない事だった。

皆、
のりちゃんの写真を見るなり
笑顔が引いた様に感じた。

のりちゃんは以前からいつも一人で遊んでおり、
近所の小さな子供の居る家から気味悪がられて苦情がきたりと、
ちょっとしたトラブルメーカーだったらしい。

しかし曾祖母は器の大きな人で、
のりちゃんの一人遊びを止める事はしなかったらしい。

むしろ苦情を出してきた家に

「そんなに心配なら子供を家から出すな!」

と言い返したそうだ。

実際、のりちゃんは
年齢が45歳くらいという事で、
周りから見ると45歳のおっさんが
小学生の様に一人で外で遊んでいるのは
気味悪かったのかもしれない。

だが誰にも迷惑を掛けてないのも事実だ。

のりちゃんの話題で皆の笑顔が消えた事を不思議に思いながらも、
そのまま宴会は終わり
遠方から来ている人は曾祖母の家に泊まり、
近所の人は各自家へ帰っていった。

オレも酒を飲んでいた為、
曾祖母の家に泊まる事にしていた・・・

が、
曾祖母の家の近所に住んでいたM姉ちゃん(35歳バツイチ)に誘われ、
市街に飲みに行く事になった。

M姉ちゃんは血の繋がりとしてはかなり遠い親戚だったが、
先輩の先輩というか友達絡みの繋がりが多かった為
仲良くしていた。

M姉ちゃんなら小さい頃から曾祖母の家付近に住んでおり、
詳しいだろうと思い、
思い切って「のりちゃん」はどうしたのかと聞いてみた。

M姉ちゃんいわく、
高齢になってきて面倒見る人も居ないので
施設で暮らしているらしいとの事。

親戚一同はのりちゃんの面倒を見ずに
施設に入れた事に負い目を感じ、
写真の時話題に出さなかったのかなと一人納得した。

深夜2時くらいまでM姉ちゃんと飲み、
タクシーでM姉ちゃんの家に帰宅。

この日は泊めてもらう事にした。

酒を飲んでいる事もあり、
二人とも即爆睡。

朝か、と思い目を覚ました時には
まだ周りは真っ暗。

時計を見ると
寝てから1時間も経って居なかった。

1時間も寝てないのに
この清清しさは何だ・・
と、不思議に思いながらも
もう一度寝ようと目を瞑る、、、

が、なかなか眠れない。

しばらく目を瞑っていれば眠れるかと思ったが
全然眠れる気がしない。

そのままカッチカッチと響く時計の音を聞きながら
ぼーっとしていた。

何時間そうしていたのか分からないが、
急に曾祖母の家で見た写真の事を思い出した。

「やっぱり気になってたのか」

自分の中の自分が囁く。

なんとなく怖い感じがして
できるだけ考えない様にしていたのに、
どうしても写真ののりちゃんの事が何か気になるのだった。

思えばオレが曾祖母の家に住んでいた一ヶ月間、
のりちゃんと一緒に遊んだ記憶はある。

いつものりちゃんはお昼すぎに曾祖母の家の訪ねて来て・・
オレは一緒に畑や近所の空き地に行って遊んでいた。

そこまでは思い出せるが何かが引っ掛かる。

何もしっくり来る回答が出ないまま
昼すぎに目を覚まし、
M姉ちゃんに礼を言って帰った。

この日は日曜日だった為、
たまには実家に帰ってみようと思い
車で実家へ向かった。

昨日お葬式で会ったばかりなので
両親とも久々に会う感じはなかったが、
久々に実家の犬に会った。

完全な猫派のオレも、
実家の犬は可愛い。

しばらくのんびり過ごしていたが、
やはり「のりちゃん」の事が気になり、

『のりちゃん覚えてる?』

両親に切り出してみた。

両親も当然覚えており、
のりちゃんの事は良く思っている様で
意外と軽くのりちゃんの思い出話になった。

小さい頃のオレを連れて
のりちゃんはあんなことしたこんなことした・・
と微笑ましい話ばかりだ。

この話の中で意外な事実を思い出したが、
驚くと一気に恐怖心が湧き上がってきそうだったので
ぐっと堪えた。

6歳の頃のオレは母親に
「のりちゃん」と「やんしゃん」と3人で遊んだと、
よく言っていたらしい。

やんしゃん、
名前を聞いて思い出したが
今思えばありえない存在だった。

オレの中で、
どんよりして嫌な記憶が蘇った。

やんしゃんは、
いつものりちゃんと一緒に居た人で
遊ぶときも大体一緒に居た。

曖昧な記憶だが、
一緒じゃない日もあったが
80%くらいはのりちゃんと遊ぶときは
やんしゃんも居た。(気がする)

昼前に曾祖母の家にのりちゃんが来たときは
曾祖母はオレとのりちゃんの分の昼食を準備してくれるのだが、
やんしゃんの分は無い。

オレとのりちゃんの食事中は
やんしゃんはのりちゃんの後ろで
片膝立てて座って居た。

曾祖母はやんしゃんと会話する事もなければ
目をあわす事もない。

今思えばオレも
やんしゃんと会話をした記憶は無い。

ただのりちゃんが

「やんしゃん、やんしゃん」

と呼び、
親しくしているので
一緒に居ただけだった。

やんしゃんは学生服の様なズボンをはいており、
上半身はいつも裸。

髪の毛はのりちゃんとは違い、
真っ黒で丸坊主

歳は30歳くらいだったろうか・・
よくわからない。

痩せているわけでもなく太っているわけでもなかったが、
腕は太いなあ・・と思っていた気がする。

声は聞いた事が無い。

のりちゃんは
やんしゃんとどうコミュニケーションをとっていたのか分からないが
時々何かしらのやり取りの後に
キャッキャと喜んで騒ぐ事があった。

内容は理解できなかったが
のりちゃんが爆笑するので
オレも一緒になって笑っていた。

やんしゃんは騒ぐどころか
真顔のままだったのを覚えている。

ある日こんなエピソードがあった。

いつもの様に
のりちゃんがオレを迎えに曾祖母の家にやってきた。

この日のりちゃんは一人で、
これから一緒にやんしゃんを迎えに行こうと言うのだ。

曾祖母の家から30分程歩くと駄菓子屋があり、
その店には100円入れると
2回遊べる格闘ゲームが置いてあった。

やんしゃんを迎えに行く途中、
この駄菓子屋の前を通りかかった。

ゲームを見るなり、
のりちゃんがこれで遊ぼうと言うので、
やんしゃんの事も忘れて
ありったけの金をつぎ込んで
そのゲームで遊んだ。

駄菓子屋のゲームをやったり、
駄菓子屋の向かいにあった公園で遊んだりしている内に夕方なり
そろそろ帰ろうかということになった。

帰り道で
今日はやんしゃんを迎えに行くはずだった事を思い出した。

やばいと思い、
のりちゃんに大丈夫かな?と聞くと
のりちゃんはさっきまでやんしゃんも一緒に居たと言うのだ。

絶対に居なかったはずだが・・
と思いながらも、
来たのなら挨拶くらいしろよと
少し苛々した。

オレの中でやんしゃんの思い出は
これ以外には無い。

やんしゃんとは
時々何かをのりちゃんに囁いて、
のりちゃんを爆笑させる存在。

話を戻すが、
この日は夕食を実家で食べて
車で自宅へと帰った。

帰りつくなり
M姉ちゃんに電話し
「やんしゃん」知ってる?
と訊ねた。

M姉ちゃんはやんしゃんを知らなかったが、
何故?何故?としつこいので
上に書いた内容を全て説明した。

するとM姉ちゃんは満足そうに

「調べとくよ」

と、軽い感じで答え、
電話を切った。

それから3日後
M姉ちゃんから電話があった。

少し忘れかけてた
のりちゃんややんしゃんの事を思い出し
テンションが下がったが、電話に出た。

すると意外にも元気な声で話しかけてくるM姉ちゃんに
少し安心した。

M姉ちゃんの調査報告は下記の通り。


・M姉ちゃんの父親はのりちゃんと歳が近く、
のりちゃんの高校時代から知っていた。

・のりちゃんは二十歳くらいの時までは健常者で、
仕事(土木)中の事故で入院してから少しおかしくなった。

・のりちゃんの事故は原因不明。
道路を作るときに地面に埋める鉄板?が
クレーンの紐が切れて落ちた時にのりちゃんに当たった

・のりちゃんは片足を複雑骨折し入院。
(ほぼ片足千切れる寸前の様だったらしい?)

・入院中から言語障害が出た。

・のりちゃんと同じ病室に
やんしゃんと呼ばれる患者が入院していたらしい。

・退院後、
のりちゃんの知的障害はどんどんひどくなった。

・退院後、一人で徘徊し、
独り言や急に爆笑したりする様になった。

・事故で入院する前から孤独で、
友達は居なかった。


のりちゃんの事はなんとなく分かった気がするが、
やんしゃんは入院したときに病院で知り合ったって事以外は不明。

オレが6歳の時は、
のりちゃんの事故から25年近く経っていたはずだ。

のりちゃんが二十歳の時に病院で知り合ったやんしゃんと
25年近くも一緒に外で遊んでたってわけか・・?

なんか考えると鳥肌が立った。

怪我の程度は重かっただろうが
足を怪我しただけののりちゃんが知的障害を煩い、
どんどん悪化しているのもおかしい。

やんしゃんに関して詳しい話は
M姉ちゃんからは聞けなかった。

内心怖いし、
どうでもよくなってきた。

早く忘れたいと思った。

今でものりちゃんは施設で
「やんしゃん」の名前を出すと言うが、
のりちゃん自体ほぼ会話にならない状態なので
詳しくは話を聞けないらしい。

のりちゃんの事故・入院と同時期に、
バイクで事故を起こし
頭蓋骨が割れる程の怪我をした人が居たという。

その人はのりちゃんと同じ病室で入院していたが、
事故から3日ほどで亡くなってしまったらしい。

その方の名前は山根さんというらしく、
山根さんのお母さんとのりちゃんの友達は
病室で挨拶をする仲だったと・・・

やんしゃん=山根さん
だったとしたら・・・

考えただけで胃が痛くて、
すごい怖い感じがするので
これ以上は詮索しません。

また次の記事でお会いしましょう。