<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>切り裂き魔

結構昔だけど
19歳くらいで専門学校の学生だった頃の事。

学校にはバイク→電車→徒歩で通学していた。

駐輪場がいっぱいの時は
そこらの自転車とか寄せて停めるしかないんだけど、
田舎のちょっと大きめの駅だと
駐輪場とか溢れかえるくらい多い。

そんな時はもう
駐輪ゾーン横にでも適当な場所に停めて
ロックしておくしかない。

まあそこすら溢れてるんだけど。

ある日、帰りが遅くなり
バイクを停めていた駅に着いたのが
21時くらいになった。

駐輪場へ入っていくと
結構遅いから駐輪スペースはガラガラ。
(放置自転車があるからそれなりにはあるけど)

混雑してる時に停めたので、
スペース無くてかなり遠くに置いてあったんだけど、
そこへ近付くにつれて違和感を感じた。

ガラーンとした駐輪場に残ってる自転車も
なんか変な気がした。

倒れている物も多い。

見られている気配というのか、
周りが妙に気になった。

サッサと帰ろうと
バイクに荷物入れてロック外して
駐輪場から出そうとしていると、

ん?

なんかすげー重い。

確認すると
後輪がパンクしていた。

嘘だろ。

スポークホイールだぞ。

チューブだから修理できないし
帰れないじゃないか。

タイヤを見てみると、
パンク傷が
思いっきりナイフなどで切られた痕だった。。

「……か…よ…邪魔……とこに……てんじゃ…ねー…よ」

と突然声が聞こえた。

ビクッとして立ち上がると、
駐輪場の中に人が立っていた。

照明は一つ一つ離れていて少し暗いが、
照明の下はよく見える。

そいつは照明から少し離れたところに居たが、
背が高く細い奴のようだった。

誰も居ない駐輪場に
にょきっと突然人が出てきてゾクッとしたが、
こっち見てなんか喋ってるのが解ると
普通の人間だと解り少しほっとした。

ホッとするんじゃなかった。

そいつは突然こっちに走ってきた。

照明の下を通った所で見えたが、
手に小さなナイフ持って振り回してやがる。

漫画みたいにブンブンあほみたいに。

空を切るそれは
なんの意味があるんだ。

その時はそんな余裕もなく、
うわー!と慌てた。

「お前らの自転車邪魔なんだよぉぉぉ!!
ここに置くんじゃねぇぇよぉぉ!」

完全にこっち狙ってるのが解ったが、
ナイフ持ってる相手に
背中向けて逃げるのは無防備で余計に怖い。

バイクにかけてあった
オフロードフルフェイスヘルメットを取り、
こっちに真っ直ぐ走ってくるナイフマンに
思いっきり投げつけた。

相手のダメージ考えずに
物を思い切り投げたの初めてだ。

メットはこっちに向かってくる奴の顔面にボゴォっと当たり、
そいつは

「うごぉぉっ!!」

って吹っ飛んだ。

私のメットは
ゴロンゴロンと悲しい音を立てて転がっていった。

相手は地面に転がったが
まだナイフを持ってる。

私は急いでバイクに縛り付けたバッグを開け、
中から取り出した。

包丁を2本。

当時調理師専門学校生で、
丁度偶然包丁を持ち帰る日で
包丁セットの入ったバッグを持っていたのだ。

相手は立ち上がろうとしていたが、
脳震盪でも起こしたのか
顔にダメージを負ったのかよろよろしていた。

そいつに包丁を持って近づいたら、
奴はこっちを見て尻餅をついた。

「うぁぅぁぁぁ……やめて」

何を言ってやがる。

ナイフを武器にする奴は
その怖さもよく理解しているのか、
自分より多い武器に怯えたのか、
包丁が出刃包丁と柳刃包丁
見た目にも鋭利すぎたのが怖かったのか、
完全に逃げ腰で両手で体を支えるような感じ。

これ他の人から見たら
完全に私が加害者だよな。

そいつを見張りながら
携帯で警察に連絡し、
警察が来るまで

「ちょっとでも動いたら、ヤルヨ」

と脅してた。

私も怖かったけど、
相手が戦意喪失状態で助かった。

警察が到着すると、
奴は縮こまってナイフも手放してた。

警察は真っ先に私に近づき
完全に拘束しようとしてる……。

凄く…恐いです。

私は包丁を地面に置き、
警察に説明。

通報したのも自分だと説明して、
携帯見せて納得して貰った。

当時は
包丁などもバッグに入れていれば
問題なく持ち運びできた。

この数年後にナイフによる事件があり、
学校や店から持ち帰るなどの理由ですら
厳しく取り締まられるようになったようだ。

奴は警察に拘束され、
その後奴のナイフを確認し
駐輪場の自転車を警察が見て回ると、
残っている殆どの自転車やバイクなどのタイヤが
そのナイフによって引き裂かれていた。

私もバイクをやられたのを
調書に書いておいた。

後に相手から弁償をして貰った。

奴の家族がしたのか、
届け出た被害者全員にきちんと支払われたようだ。

勿論大事なメット代金も貰った。

警察から聞いたが、
そいつも自転車できてるらしく、
駐輪場に停める場所が無くて
場所を空けるためにやったとかなんとか。

まあタイヤ切り裂かれる所になんかだれも停めたくはないし、
それ狙いだったのかな。

洒落にならないのは、
夜遅かったとはいえ
駐輪場周辺には民家もあるのに
あの奇声を聞いて出てくる人も居なければ、
通りかかる人も居なかった。

こんな場所で女性がナイフ持った男に襲われたら
逃げるの無理だろうなと思った。

その点は駅の方へ連絡しておいたら、
卒業前だから1年も経たずに照明が増えて明るくなり、
駐輪場も整理されて
放置自転車も逐一処理されるようになった。

卒業までしかその恩恵には預かれなかったけど。

包丁二刀流は洒落にならないほど安心感があった。

また次の話でお会いしましょう。