<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>イエンガミ

亡くなった暗子(仮)が実は生きてて、
暗子を助けようとしていた陽子(仮)が行方不明になった、
ということがありました。

夏頃、
高校の連絡網で
暗子が亡くなったと知らせが入った。

私と陽子を含めた3人は高校の時の同級生。

高校入学当時人見知りだった私に
気さくに話かけてくれた陽子。

初めてできた友達だった。

陽子は本当に元気いっぱいで、
明るくて、正義感の強い子。

クラスのムードメーカー的存在だった。

私達の住む町は
何年か前にA村とB町が統合したもので、
私と陽子はB町の子。

A村の山の麓を開拓し、
できたのがB町。

B町ができてすぐに
私の両親はB町に引っ越してきた。

陽子は高校になって
B町に越してきた子だった。

私は子供のころから
A村にはいくなと両親に良く聞かされていた。

中学校になると
A村の子と同じ学校に通うのだが、
そのときも両親は
A村の子とは仲良くするなと言っていた。

なのでB町の子は
A村の子とは話さなかった。

A村出身の同級生は4人。

暗いオーラというか、
何か不思議な感じのする子たちだった。

でも陽子だけは
A村の子とも分け隔てなく話していて、
その子たちの中でも暗子とは特に親しくしていた。

私も陽子を仲介として
暗子とだけは話すようになった。

でも高校を卒業して、
暗子は県外に行った。

成人式も同窓会も1度も参加していなかったので、
卒業してから1度も連絡を取ることはなかった。

また、あんなに明るかった陽子も大学生になって、
原因はわからないが
軽い精神病といった感じになり、
なかなか連絡を取ることがなかった。

私は県内の大学を卒業し、
B町にある小さな店で仕事を始めた。

仕事に慣れてきた夏頃
高校の連絡網で
暗子が亡くなったとの一報を受けた。

まだまだ24歳。

まさかこんなに若くして友人が亡くなるなんて
と大変ショックを受けた。

ただ、葬儀については行くべきか大変迷った。

連絡をくれた友人も連絡は回しているけど
葬儀には参加しないと。

親がA村には行くなというからいけないと言っていた。

私はすぐに陽子に連絡しましたが、
連絡は取れず。

散々悩んで葬式だけは参加することにした。

葬儀に来ているB町の子は
やはり私だけだった。

知らない人ばかりに
話したことのないA村の同級生4人。

正直行ったことを大変後悔した。

それに葬儀もいくつか変だなと思ったことがあった。

一つ目は喪主の方の名前が
暗子の名字とは異なっていたこと。

もしかすると何か理由があるのかもしれないが、
喪主は暗子の親ではなかったのでは…と思った。

二つ目は
なぜか棺・ご遺体共になかったこと。

普通は遺影と棺とその中にご遺体、
そしてご遺体に向かってお焼香という形だと思うが、
棺はなく、皆遺影に向かって歌いながらお焼香をしていた。

最後、三つ目がお経。

お経は色々な種類があるが、
普通お坊さんが唱えるものだと思う。

しかし暗子の葬儀では
椅子に座っている参加者ほぼ全員が
何か暗い歌のようなものを歌っていた。

そして皆一様に口角を無理に上げているような、
笑っているような表情であり
大変異様だった。

私はお焼香を済ませて
逃げるように会場を後にした。

それから何か月かして、
暗子のことも私の中で整理がついた頃
陽子から連絡がきた。

電話の内容は

「暗子を待っているのだけど、
3時間待ってもでてこない」

というものだった。

暗子は亡くなっているのに
何をいっているのだろうと思い

「暗子は亡くなったよ?
誰と間違えているの?」

と聞くと、
陽子は

「それが亡くなったのは嘘で、
暗子は生きとったん。
暗子が生きていると証明するために
実家に連れて行ったけど、
家に入ったっきり暗子が出てこんとよ」

と状況を説明してくれた。

陽子の話をかいつまむと、

・先日暗子から連絡が来て会った。

・暗子は実家と全く連絡を取っておらず、
久しぶりに地元に帰ってきていた。

・そこで
「用事で役場に行った際
自分が亡くなっていると役場の人間に言われ、
どうしたらいいのか」
と相談された。

・悩んだ末、
暗子母に暗子を会わせることに。

・親と不仲な暗子を説得して
暗子家まで連れてきたが、
一言もしゃべらずに
暗子は暗子母と家に入っていった。

・そのまま3時間がたった。

・家に入ろうと思ったが、
見張っている?おじさんがいる。
それに人も沢山いて怖いから入れない。

といったことを説明された。

正直ほとんど意味がわからなかったが、
とにかく陽子が困っているのはわかったので、
あと1時間ほどしたらそちらに向かうと伝えて、
暗子の家の場所を聞いて電話を切った。

バタバタと店を閉めて
陽子にこれから行くと連絡したのだが、
繋がらない。

仕方がないので、
暗子の家に向かっている時に
陽子から電話がきた。

「……おーいぃこれが…ザワザワザワザワ…門閉めろーぃちが……ザワザワ…」

出てみると
周りで誰か複数人が遠くから大きな声で話しているような音が聞こえるだけで、
陽子の声は聞こえなかった。

何度か呼びかけたが
応答がないまま電話は切られてしまった。

それから5分くらいして
暗子の家に到着した。

もう空は暗かった。

暗子の家はほとんどなにもない所にあった。

広い庭を挟んで右側に立派な木造の平屋。

左側にアルミ板のようなもので作った簡易的な倉庫。

その奥に何か高い建物があった。

右側の平屋の前には立派な門があり、
そちら側に向かって歩く。

すると左側の倉庫の前に
人影のようなものが見えた。

よくよく見てみると
その人は倉庫の前で丸く大きな石の上に座って、
ずっと前の平屋を見つめていた。

門の部分に呼び鈴が見つけられなかったので、
その人に話しかけに行こうと庭に入った。

かなり広い庭で、
撒き石がしてあったので、
歩くと音がするのだが、
その人は一度もこちらを見ることなく、
ずっと平屋を見つめていた。

少し近づいたところで

「すみません」

と声をかけたが反応なし。

ふと、
その人が見つめている平屋に目をやった。

その時、
陽子が怖いから入れないと言っていた意味が分かった。

その人の目線の先…
平屋の外廊下…
そこにずらっと何十人の人間が並んで正座していた。

その人達もまた私に一瞥も触れることなく、
ずっと倉庫の前の人と見詰め合っていた。

皆一様に口角を上げ、笑いながら。

異様な光景に全身に一気に鳥肌が立った。

気づいたら無我夢中で帰っていた。

帰りながら
あの暗子の葬式のときの異様なお経が
小さく聞こえた気がした。

陽子の車は見つけられなかった。

ここから後日談になります。

その後陽子と暗子に何度か電話したが、
二人ともつながらなかった。

ただ、暗子からは

「巻き込んでごめんね」
「稿シ ,嗤口ォ餌喰 (改行)口無シ虫ノヤマ 嚆ナク ^」

という2通のメールがきた。
(原文まま。多分文字化け?)

それ一通のみで
その後連絡が来ることはなかった。

何度か暗子の家に行こうとしたが、
どうしても怖くて行くことができなかった。

陽子の家には何度か行ったが
いつも不在だった。

全く進展がなく、
まさか何か事件に巻き込まれているのでは
と不安になっていた。


そんな中、
先日、精神病で入院していた父が帰ってきた。

そこで陽子の現状を知ることになる。

なんと陽子は
父と同じ精神病棟に入院していたのだ。

精神病棟では
自傷行為や他人にけがをさせたりすると
隔離された病棟に移されるのだが、
父が自傷行為をした際、
その隔離病棟で陽子と会ったと言っていた。

私は驚いた。

確かに心の病にかかっていたとは言っても、
日常生活に影響がでるほどのものではなかったのに
なぜ入院?

父に陽子の状態を聞いたが、
全く近づけるような状態ではなかった…
ということしか教えてもらえなかった。

そして夜、暗子の葬儀の夢を見た。

その時いたA村の子。

暗子を入れて4人しかいなかったはずのA村の子。

でもそこには4人のA村の子がいた。

よくよく思い出してみると、
葬儀に行った際○○高校名簿という本があって、
○○高校の同級生は
そこに名前を書くことになっていた。

私が5番目に書いたので、
確実に4人のA村の子がいたのだ。

それがとても気になって、
目が覚めた後、
意を決してA村の暗男(仮)に電話した。

暗男とは話したことはなかったが、
3年間同じクラス。

そして暗男は陽子のことが好きだった。

暗子と陽子について聞けるのは
暗男しかいないと思ったのだ。

電話した時はつながらなかったが、
連絡が帰ってきた。

「久しぶりですね」

という暗男に対して
率直に暗子と陽子について知っていることはないかなど
色々質問を投げかけたのだが、
すみませんすみませんと謝られるばかりで
何も答えてくれなかった。

葬儀のとき4人A村の人がいたが、
1人多いのは誰かとも聞いたが同様だった。

そして

「もう行かなくてはいけないので、、、、
そしてこの件についてはもう触れないでください。
今のあなたはただ欲求を満たしたいだけだ。
とにかくA村には近づかないでください。
そして何かあれば笑ってください」

と言われた。

「笑うって何?
それって陽子と暗子に関係あるの?」

と咄嗟に聞き返すと、

「笑うとイエンガミは消えます。
時間がかかっても消えます。
イエンガミ…知りませんか?
きっとあったことがある。
気になるなら調べえ」

…と。

結果結論としては何も言えないのだが、
私の予測ではエンガミ=笑神、
イ=異として、
異笑神ではないかと思ってる。

もちろんイエンガミ事体聞き間違いかもしれないが。
そう仮説してみると、
暗子の家にいた石の上の人は
イエンガミではないかと思う。

それと陽子、
そして暗子が何に関係があるのかはわからないが、
村の人が暗いオーラだったのは
笑っていなかったからではないかと。

そして子供のころから
A村は生贄が続いていると噂されていた。

もしかしたら暗子が生贄で、
陽子も何かしらその儀式に巻き込まれたのではと
勝手に想像している。

また次の話でお会いしましょう。