<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>さっちゃん

一私達と友人家族は、
とある湖の近くでキャンプをしました。

昼の1時にチェックインし、
テントの設営などを終え、
夕食までの時間、大人は休憩タイム、
子供達は周辺で遊んでいました。

そろそろ、夕食をと思い
子供達を呼んだところ、
当時小1の娘だけ見当たりません。

子供達に聞いても、
さっきまで一緒に遊んでいたというのみで、
わかりません。

時期がずれていたのと
マイナーなキャンプ場だったからか、
キャンプ客は、
私達グループともう二組のグループのみでした。

見通しもよい場所なので
すぐに見つかると思ったのですが、
なかなか見つかりません。

すべて探し尽くし、
他に隠れるような場所はないはずなのに、
見つからないのです。

キャンプ場の管理人さんも、
こんなことは始まって以来だ、考えられない
と首をひねるばかりです。

日も暗くなり、
もしや、湖の底に・・・と、不安になり、
然るべき機関に協力を要請しようと話し合っていたとき、
ひょっこりと娘が現れたのです。

一体、何処にいたのか問い詰めると、
さっちゃんと遊んでたと言うのです。

さっちゃんというのは、
いつの頃からか名前を口にしている
娘の空想の友達です。

最初は、
人形にさっちゃんと名付けて遊んでいるのか
と思ってたのですが違ったようで、
さっちゃんと人形で遊んでいたのです。

その後も思い出したように名前が出てくる程度で、
このくらいの歳だと空想遊びするし、
実害がなければいいかと思い
放置していたのでした。

さっちゃんのことは気になりましたが、
とりあえず、
御迷惑をおかけした方々にお詫びと御礼をし、
娘も無事に戻ってきたので、
キャンプを続行しました。

キャンプから帰ってきてからの娘は、普段通りで、
聞けばさっちゃんの話はするものの
現実の友達との遊びが忙しいためか、
自ら進んで話をすることはなくなりました。

こうやって、
空想より現実の世界の比重が高くなるのかと
ホッと一安心していたある日の事です。

息子が、
お姉ちゃんが知らないおじさんと部屋で遊んでいる
と言いに来たのです。

え?家の中に不審者が??

と恐る恐る二階の子供部屋に行くと
娘は一人でお人形遊びをしているだけで、
誰もいません。

「この部屋に誰かいた?」

娘に尋ねると、

「あー、さっちゃんの事?
遊んでっていうから、
さっきまで一緒に遊んであげてたよ。」

なんとさっちゃんというのは、
おじさんのことだったのです。

しかも、娘だけでなく、
息子にも見えた??

空想じゃなくて、
だれかが家に忍び込んだのか?

何年も前から?

パニックになりつつ、
とにかく、子供達には、
そのおじさんとは絶対に遊ばないように言い聞かせました。

夫にその話をしたところ、
そういえば子供にしか見えないおっさんの話があったよな
と言い始めました。

確かに、昔、
そんな話があった気がします。

口裂け女系の都市伝説で、
細かい事は忘れましたが、
子供にしか見えないおじさんがいて、
ついていったら帰ってこれなくなるとかそんな話です。

その話と今回のこととの関連もわからず、
当然解決法も思いつきません。

結局、どうすることもできず、
不安と気持ち悪さを感じながら
毎日を過ごしていました。

そして、
それからしばらくたったころの話です。

夜中に目が覚め、ふと目をやると
真っ暗なリビングの滑り台を
スーと娘が滑っていました。

少し説明すると、
我が家はリビングに併設している和室に
布団を敷いて家族で寝ていて、
リビングには子供用のジャングルジムと滑り台が一体化した
遊具を置いています。

あまりにもびっくりして、
声をかけずに、
ぼっとその光景を眺めていました。

よくみると娘の隣に人影がみえます。

暗くて良く分からないのですが、
大人のようです。

夫は隣で寝ています。

これがさっちゃんなんだと確信して、
思わず娘に、

「こっちに来なさい」

と叫んでしまいました。

急に声をかけられ、
びっくりした娘が、
こちらに来ようとしましたが、
その人影は、娘の手を掴むと
暗闇の方に引っ張り始めました。

私は慌てて布団から飛び出ると
娘を抱きかかえ、
その人影の手を振り解きました。

しかし、
振り解いても、振り解いても、掴まれるのです。

よく見ると、
腕は一本だけではなく、
5、6本あるようでした。

驚きすぎると、
声が出せないようで、
無言でその手と格闘しました。

後で考えると、
すぐそばに夫がいたので
助けを呼べたはずなのですが、
全く念頭にありませんでした。

人影は、1つで
顔をあげたらすぐそこにあったのですが、
みてしまったら最後のような気がして
顔をあげることができず、
結局、さっちゃんの顔をみることはできませんでした。

ようやく、手を振り解いて、
布団の方へ戻りました。

幸い、影は追いかけて来ず、
暗闇に留まっていました。

1時間、
ひょっとしたら10分くらいだったかもしれません。

ふっと、気配がなくなり
影は消えてしまいました。

そうなって、
やっと夫の存在を思い出し、
叩き起しました。

夫は口には出しませんが、
私達2人が寝ぼけていたと思っているようです。

私自身、
ひょっとしたら夢だったのかも
と思うこともあります。

ただ、娘も私も
同時に寝ぼける事があるでしょうか?

あの腕の感触は、
夢ではないはずです。

あれから、
さっちゃんは娘の前には現れていないそうです。

なんとなく、もう、
娘の前には現れないと確信しています。

また次の話でお会いしましょう。