<最怖>睨むモノ
親父が肝臓やって死にかけたとき、
母ちゃんと病院の説明室で主治医と研修医から話を聞いた。
大きなテーブルを挟んで対面していたんだが、
気がついたら部屋の隅に三人知らない人が立っており、
上目遣いの凄い形相で主治医を睨んでた。
オレはこれはこの世のものじゃないと思い、
怖くて見ないようにしてた。
誰も気づいていないようだった。
猛反対する両親を遮り、
強引にセカンドオピニオンをし、
違う病院に移した。
親父は告げられた余命よりはだいぶ長生きした。
でもオレはあそこで見た連中の顔が目に焼き付いて、
しばらく安定剤頼みになってしまった。
ほんとに怖かった。
あと、
その病院に見舞いにいったとき、
一度だけあったこと。
乗っていたエレベーターがとまり、
乗り込もうとした看護婦に、
あっ、いっぱいですね、先どうぞ
と言われた。
乗ってたのはオレと母ちゃんだけだったのに。
なんか変な土地に建てちまったんじゃねえの、
あの病院。
また明日の夜にお会いしましょう。