<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>入れ替わり

自分はS県S市に住んでいます
(ちょっと前まではS県F町だった)

かなり山の中に家があって、
最寄りのバス停まで徒歩1時間。

しかも、
バスは一日往復1回なので、
帰りのバス逃すと帰って来れない

最寄りのコンビニまでは自転車で2時間。

スーパーまでは3時間。

だから、
トラックの売り子さんが
週一回家の近所まできている

もちろん、
トイレはぼっとんだし、水は井戸。

そんな田舎に住んでいる

小学校、中学校までは
親に車で送迎してもらっていたが、
高校にもなると
自転車で通学するように親に言われた。

一番近い高校に進学したが、
それでも自転車で片道3時間半かかっていた。

坂も地味にあるし、
なにより地区には同級生などいなかったので
毎日一人で登下校するのが本当に辛かった。

しかし、
その頃MDが発売され始めたこともあり、
お年玉で買ってから
少しだけ気が楽になった。

なんせ、
ほとんど舗装もされてないような道、
昼間でも薄暗い林道を走るのは
いくら地元でも何年かかってもなれなかったからだ。

晴れの日はまだいいが、
あめの日は地獄だった。

カッパを着ていても
木々から体にバチバチという音を立てて
雨粒は落ちてくる。

そんな高2の梅雨の時にそれは起こった

校内行事のリハーサルで
学校を出たのが19時過ぎ。

しかも梅雨ならではのぐずついた天気は
いつ雨を降らせるかわからなかった・

イヤホンを耳にはめると、
校門から一気に立ちこぎで走り始めた。

徐々に民家は遠ざかり、
次第に人気も減って、街灯もなくなり
自転車のライトのみの明かりで林道を走る。

ぽつぽつと雨は降り始めたが、
小雨なのでカッパも着ずに走り続けた。

2メートル先も見えない暗闇の中、
自転車は下り坂ということもあり
徐々に加速する。

お気に入りのミュージシャンの歌声が
更に自分の脚を早く回転させる。

それとともに雨足も強まってきていた。

家まで残り1時間くらいで着くというとき
何かをタイヤで踏み、自転車は横転した。

すぐ横はなだらかな崖のようになっているので
反対側にこけなかったのが唯一の救いだった。

カバンから手探りで懐中電灯を取り出すと、
周りを照らす。

すると、
自転車のタイヤが木にぶつかり
タイヤの空気は抜け、
ホイールも曲がっていた。

自転車はとりあえず押して帰ろうと立たせて
歩き始めた。

ホイールが曲がっているため
ガクンガクンなるが、
きにせず歩く。

腕時計を見ると
21時を少し過ぎていた

雨は依然降っているが、
カッパを着ると歩きづらいので
気にせずにあるく。

MDは濡れるのを防ぐため、
タオルでくるんでバッグに突っ込んだ。

辺りは雨音がするのみで、
崖下を流れる川の流れが若干聞こえてくる。

腹は減るし、
リハーサルでクタクタで、

゛目をつぶったら部屋についてないかな゛

なんてくだらないことも考えながら歩いていた。

正直、自転車はここにおいて
明日の朝じいさんの軽トラで運んでもらおうかとも考えた。

でも、
ようやく買えたマウンテンバイクなので
そんなことできなかったんだ。

と、崖下の方から声がした気がした。

なんていってるかはわからないが

「・・・・い」

「ぉ・・い・・・ゅ」

みたいなかすれた様な
風の音なのかわからないような不思議な音。

崖下は真っ暗だし、
なにより高さは5mくらいはあるんで
人などいようはずもない。

そう考えてまた自転車を押して歩き始めた

すると、
また声なのか風の音なのか判別できないような音がした。

今度は自転車を脇にころがして、
崖下に懐中電灯の光を向けた。

下は渓流なのだが、
その真ん中でこっちに手を振ってる
人型の何かがいるのがすぐにわかった。

しかし、顔とかは全く見えない。

黒い影のようなものが
ブンブンとこっちに手を振っている。

しかし、その手が異様に長い。

手だけで2mはありそうなくらいあった。

怖いというよりも、

゛なんだありゃ゛

に近い呆然とする感じ。

そいつはこっちに向かって
何か言っているようだった。

「・・・・ぃ」

「・・ゃぃ・・・ぉ」

「こ・・・・ゃ・・ぃ」

一瞬寒気がして
腕時計に懐中電灯の光を当てて確認すると
22時近い。

また崖下の光を向けると、
何もいなかった

流石に怖くなってきた自分は
自転車を立てる。

と、何か自転車が重い。

タイヤにぬかるんだ泥がついたのかと思い
自転車を照らしていく。

すぐに違和感に気づいた。

スポークにねずみが刺さっている。

しかし、おかしい。

そのスポークは端が折れていないので、
ささりようがないのだ。

お札貫通マジックみたいな感じで
スポークのど真ん中にねずみが刺さっている。

そこまで考えた瞬間全身総毛立ち、
飛び上がった。

そして、
自転車のカゴのバッグを引っつかむと走り出した。

走ると手に持っている光は上を向くので
先が全然見えない。

しかし、走る。

とにかく走る。

腕時計は23時近くになっているが、
もう残り5分もすれば林道を抜けるというとき、

不意に耳元で

「おい」

とドスの効いた声が聞こえた。

しかし、それは無視した。

そしてなんとか林道を抜けた。

林道を抜けると、
すぐに民家が何軒かあるので
若干明かりが見えたことで安心できた。

そして、
今来た道を振り返った瞬間、
また総毛立った。

自転車があるんだ。

何キロか前に置いてきたはずの自転車が倒れている。

しかも、
タイヤもパンクしていないし、
ホイールも曲がっていない。

まして、
ねずみなんかも刺さっていない。

自転車にかけより立てるといつもの自転車で、
フレームにも傷一つついていない。

すぐにまたがると、
家まで一気に立ちこぎで帰った

家の玄関を開けると、
母親がキョトンとした顔をしている。

そして、

「あれ、お風呂はいったんじゃなかったっけ」

と意味不明なことを言う。

「いや、今帰ってきたのにそんなはず無いじゃん」

と言うと、母親が

「え?さっきご飯食べたじゃん」

と真顔でいってくる。

「いや、食べてないし。」

「じゃあ、今誰がお風呂入ってるの」

と母親が指差す先には、
離れの風呂場のすりガラス越しに影が見えている。

異常に手が長い影はさっきみたもののように
ブンブンと手を振っているようにも見える。

また次の話でお会いしましょう。