<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>ババア

僕は当時、高校生でした。

これは同じクラスにいた山口という男子生徒の話です。

山口はひょうきん者でどこのクラスにも一人はいる・・・そんな存在でした。

ある日、いつもふざけている山口が神妙な顔をして全く黙っていました。

みんながちょっかいをだしても全く無反応で、
妙に青ざめた顔が印象的でした。

僕は女の子にふられたんだろうぐらいに思っていました。

たまたま、その日僕は山口と帰りが一緒になりました。

そこで僕は何かあったのか?と聞いてみましたが、
彼は何もしゃべろうとはしませんでした。

女の子にふられて落ち込んでいるというより、
むしろ何かに怯えているといった雰囲気でしょうか?

僕はそのときの山口の態度の異常に気付き、
しつこく問いただしてみました。

彼は半ば泣きそうな顔をしながら、やっとその重い口を開きました。

「どうせお前は信じてくれないだろうが・・・」

以下は彼の話によるものです。

山口が子供の頃、夢に知らないババアが出てきたそうです。

それも一度や二度ではなく、何度も・・・。

そのババアは紫のスカーフをかぶり、
指にはダイヤの指輪を何個もはめて
黄色いカーディガンを羽織って・・・

一番印象的なのは歯が全部金歯であったことだそうです。

そして夢の中で山口に向かって

「私のかわいいチェルシー。早く大きくなっておくれ。」

そう言っていつもニタニタ笑っていたそうです。

もちろん彼はチェルシーなんて名前ではないし、
そんなババアには全く見覚えなんてないといっていました。

子供ながらにも不気味には思っていたそうですが
山口も成長するにつれ、その夢は全くみなくなり
すっかり忘れていたそうです。

しかし・・・

「昨日また夢に出たんだよ・・・そのババアが・・・」

話によると、ババアは夢の中でこう言ったそうです。

「私のかわいいチェルシーや。大きくなったねぇ。もうすぐ迎えに行くよ。」

私は只の夢だから気にするな、と言ってやりました。

しかし実際のところ彼の凄まじい怯えかたに僕も少し恐怖を感じていました。

学校の最寄の駅に着き、僕らはそこから方向が別なのでそこで別れました。

僕が家に着いた直後、電話がありました。

山口からでした。

電話越しの彼はもはや正常ではありませんでした。

彼が落ち着いて話せるようになるまで多少時間がかかりました。

彼は泣いていました。

「さっきババアに会った。」

僕は一瞬で凍り付きました。

そんな馬鹿な・・・

彼の話ではババアは夢の中での奴であって・・・

僕と別れた後、彼の乗った電車は満員電車だったそうです。

家の近くの駅に着き、人ごみに押されながら降りた山口のすぐ脇にいたそうです。

夢の中と全く同じ格好で・・・

そして醜く笑みを浮かべて山口に言ったそうです。

「明日迎えに行くよ。チェルシー・・・」

そのままババアは人ごみの中へ消えるようにしていなくなったそうです。

山口は半狂乱のような状態で家にたどり着き、
僕に電話したということでした。

正直に言って半分信じられませんでした。

とにかく明日学校で会おう、と言って電話を切りました。

次の日の朝、僕は妙な胸騒ぎを覚えていつもより二時間くらい早く目が覚めました。

そのまま早く学校に行って、山口を待つことにしました。

朝の学校には、ほとんど人がいなく僕はガラーンとした教室でぼんやり外を眺めていました。

そのうち、ぼちぼちと生徒も登校しはじめました。

しかし当の山口はいつまでたっても現れません。

だんだん心配になってきた僕は山口の家に電話をしました。

しかし山口のおばさんがでて、もう一時間も前に家をでたとのことでした。

だったらもうとっく着いてもいい時間なのに・・・。

結局山口はその日学校には現れませんでした。

その後家族から捜索願が出され、僕も警察で何度も事情聴取されました。

結局ババアのことは誰も信じてくれませんでした。

山口はいまだに行方不明のままです。

僕が本当に恐ろしいと思ったのはここからです。

この話を大学の友達の天野にしたのです。

天野の顔色はみるみる青ざめていきました。

話が全て終わると天野は気を失ったのです。

しばらくして気がついた彼はうわの空でぼそっとつぶやきました。

「そのババア・・・俺の夢にも出てきた。」

ただしチェルシーではなくトムと言っていたそうです。

山口と同じように天野が子供の頃、何度も夢に出てきて。

「私のかわいいトム。早く大きくなっておくれ。」

僕は今度はいつ天野の夢にそのババアが出てくるか心配です。

また次の話でお会いしましょう。