<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>物差し

一年生の頃、女の子しか友達がいなくて、
その子ともいつも一緒ってわけでも無かった。

そんな時俺は校舎の一階の探検によく出かけてて、
何時の間にか擁護学級の子と友達になってた。

擁護学級の教室があるのは一番古い校舎の一番奥で、
校舎は全体からすれば真ん中何だけど端が行き止まりで
擁護学級と図書室ぐらいしかないせいか
人が殆ど居ない上にやたらと暗くて怖いけど好きだった。

コンクリート造っていうより
石でできてる感じがするゴツゴツした壁や、階段。

磨り減って滑らかになった手すりが好きで、
その校舎は二階にも行けた。

古めかしいダストシュートと
その下の焼却炉も気に入ってたけど
トイレは嫌いだった。

階段の下のスペースに
一部屋だけ作られた男女共用のトイレは
他とは違って段差の付いた和式で、窓があって、
小さな洗面台が隅に付いてたんだけど
階段の下なもんだから
天井が段々になってて
それが怖かったんだと思う。

ともあれしばらく擁護学級の子と遊んでた。

擁護学級には色んな子がいて、
何故か皆首とか手首とかの辺りが痩せてて、
ずっと泣いてる子とか、喋らない子とか、
それからガリガリ君みたいな頭の男の子が何人かと、
時代錯誤な感じの前髪パッツンの女の子がいて、
テレビとかの話は全然しないけど、
その子達は全然知恵遅れとか
そんな感じに見えない普通の子だった。

んでその遊びっていうのが、
良い感じにツルツルになった階段の手すりの上に
竹の物差しを滑らせて誰が速いかっていうやつだったんだが、
ある日男の子の一人が滑って来た物差しをふざけて横からはたいて、
五、六本の物差しが束になって階下に落ちて行った。

運悪く下には
金属製の書類棚が置いてあって
その後ろと壁との間に全部まとめて入ってしまった。

子供の力じゃ棚は動かせないし、
隣の校舎からチャイムが聞こえたので諦めて教室に戻り、
何故か旧校舎棟の仲間とも
それっきり遊ぶ事も会う事も無かった。

またずっと忘れてたが、
六年生になって、
卒業前に全校清掃する事になったときに
うちの班がたまたま旧校舎棟の担当になった。

一年生の時に擁護学級があった教室は
なんとか準備室って教室になってたけど、
例の重そうな書類棚を見つけ、
その後ろに物差しを放ったままにしていることを思い出した俺は
班の皆を説得して書類棚を動かす事にした。

自分の物差しを取り戻したいわけじゃ無かったけど、
何となくあの頃の思い出を確認したい気がしたのと、
擁護学級の子達しか持っていなかったらしく、
珍しい黒っぽい色をした物差しが残っているはずだとおもったからだ。

だが、
皆でどかした棚の後ろのおびただしい埃の底にあったのは
自分の学年組名前が書かれた白っぽい物差しだけだった。

よく考えると、
俺のと一緒に挟まった物差しを
俺のいない時に先生か誰かにとってもらったのなら、
わざわざ俺のだけ残す事もないだろうし、
学年組名前が書いてあるのだから
先生か誰かに預ける事も出来たはずだ。

それに自分の物差しの下には
古い藁半紙やらなにやらがあったから、
棚自体うごかしていないはずだ。

その事をなんとか班の皆に説明しても、
誰も信じてくれないばかりか
擁護学級はこの校舎に元から無くて、
前から新校舎の保険室の隣にあったと言われてしまった。

とはいっても
擁護学級の子はチャイムが鳴っても
旧校舎から離れようとしなかったし、
そもそも校舎が全部繋がっているとはいえ、
保健室のある辺りとはかなりはなれていた。

六年生の頃は
また自分のボケーっとする癖で
変な思い違いをしたのかと班の皆の罵倒を俯いて聞いていたが、
ついさっき旧校舎で遊んだ記憶が蘇って来て、
なんというか事実と齟齬があるというか複雑な気持ちだ。

また明日の19時にお会いしましょう。