<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>黒のソファー

高校生の時、
親元を離れ家賃2万の
風呂無しアパートを借りて住んでいた。

その部屋には
何故か黒いソファーが備え付けてあった。

6畳の部屋には似合わない
本皮のどっしりとした大きなソファーで、
大家のおじいさんが言うには
前の前の前くらいの住人が

「いらないので」

と置いていったとのこと。

住人が引っ越す度に

「持って行けよ」

と言うのだが

「いや、いらないです」

と断られるらしい。

それを聞いた自分は

「うわあ!オカルト話でよくあるやつ!」

なんて思ったが、
貧乏でテーブルしか持っていなかったので、
ありがたくベッド代わりに使わせてもらうことにした。

ソファーは左側の壁にピタリと寄せて置いてあり、
動かそうにも一人ではビクともしなかった。

住み始めて数日経った夜、
ソファーで寝ていると
突然背中に痛みを感じた。

チクチクと
爪楊枝で刺されてるような嫌な痛み。

何か虫?と思いながら体を起こし
電気をつけてソファーやTシャツを確認してみたが
何も見当たらず、
そのうち痛みもなくなった。

その日から不思議なことが起こるようになった。

背中のチクチクに加え、
金縛り、うめき声、
モヤモヤとした黒い影が部屋に入ってくる、
誰かが背中に顔をベタリと付けてくる、
包丁で刺される夢を見る・・・。

全てソファーで寝ている時に起こる。

「やっぱりこのソファー・・・」

と思い、
引越しを考えたがそんな金があるわけもなく、
仕方なくソファーにシーツをかけ、
なるべくソファーに近づかないように生活をしていた。

ある朝、
便所に行こうと廊下へ出ると
大家さんと大家さんの孫と出くわした。

「あ、おはようございます。
あれ?どうしたんですか?」

「いやあ、隣のAさんから急に電話着て、
もうアパートに戻らないから片付けてくれだってよ」

自分はそれを聞いて
思わずガッツポーズをしそうになった。

何故ならこの隣のAさん、
かなりアレな人だったからだ。

40歳~50歳くらいの太った眼鏡のおばさんで、
もう10年以上住んでいるらしいんだけど、
挨拶も無し、少し物音をたてただけで壁をドン!

ドアに

「うるさい!」
「掃除!」

と書かれた張り紙をしてくるなど酷かった。

一番鮮明に覚えているのが、
廊下でAさんが突然ひっくり返った。

偶然近くにいた自分が

「大丈夫ですか?!」

と駆け寄り、
手を差し伸べると
バチーンとすごい勢いで弾かれた。

「なんだコイツ」

と思いながらも見守っていると、
近くにコンビニの袋が落ちているのに気付いた。

何の気なしに拾ってみると
エロ漫画とコンドームが入っていた。

それをまた凄い勢いでAさんは奪い取ると
ドシドシと部屋に戻っていった。

そんな人だったので

「引っ越してくれてありがとう!」

と心から感謝していた。

鼻歌交りに部屋に戻りダラダラしていると、
隣が何やら騒がしい。

何かあったのかな?

なんて思っていると、

「B君(俺)!ちょっと来て!」

と大家さんの孫が呼ぶ声が聞こえた。

「どうしたんですか?」

と隣の部屋に行くと、
大家さんの孫が
血相を変えてどこかを指差している。

パッと指差した方を見て
めちゃくちゃビックリした。

壁に釘が何十本もぶっ刺してあった。

呆然と見ていると
大家さんが

「よく見てみろ。色々書いてある」

と言うので近寄って見てみると、
釘のぶっ刺してあるところを中心に
壁にバーっと細かい字と汚い絵が
沢山書いてあった。

絵は小学生が描いたような女と
男の裸の絵で、
上から爪か何かで引っ掻いた跡があった。

細かい字の方は
もう「死」とか「呪」とか「殺」とか・・・
いかにもな字が並んでいた。

「○○死ね」

というが沢山あって、
もちろん俺の名前もあったのだが
大家さんが言うには

「B君の前の住人たちの名前があるな」

と言っていた。

それを見て何となく気付いた。

この壁の向こうって
丁度ソファーがあるあたりだ。

あの現象って
ソファーが原因だったんじゃなくて、
これが原因だったんじゃないかって。

恐らく前の住人たちはこの事実を知らずに、
ソファーに原因があると思って
置いていったんだろうなあと思うと
何とも言えない気持ちになった。

Aさんが何でアパート出て行ってから、
しばらくぶりにソファーで寝てみたが
何も起こらなかった。

やっぱりあれが原因だったのかと確信した。

ちなみに大学を出るまで住んで、
出るときに大家さんに

「ソファー持ってくか?」

と聞かれたけど

「いや、いらないです」

って断った。

でかいんだもん。

また次の話でお会いしましょう。