<最怖>黒い玉
小学校中学年頃の話
小学生時代の俺の特徴と言えば
”割と元気な小僧で一年中半そで短パンスタイル”ってくらいで
生まれてこの方意味不明な事言う電波ちゃんでも
見えないものが見える霊感少年でもなかった。
夏休みが終わり秋真っただ中のこと。
その日もいつもの格好で普段通り登校し、
普通に勉強したり遊んだり
飼育委員として兎とか鯉の餌やりをしながら生活してた。
それで、
昼休みが終わって午後の授業の時、
急に頭痛と吐き気、悪寒に襲われた。
先生に体調の旨を伝えて
保健室で体温を測ると39.8℃だった。
午前中にはそんな兆候は一切感じなかった。
親を呼ぶと言われたが、
親は働いてるし
迷惑かけたくなかったから盛大に拒否
フラフラしながら必死に帰宅。
親には風邪ひいたら汗をかいて治せといつも言われていたから、
水分補給後直ぐに布団に潜りこんで眠ることにした
はっきり言って全然眠れなかった覚えがある。
でも気付くと寝てしまっていた。
悪夢の始まりだ。
変な夢を見た。
白いのか黒いのか赤いのかよくわからない世界に
独りで仰向けになっていた。
すると上だか足元だかから物凄くでかい、
当時の伸長を140cmとして、
近付けば視界を埋め尽くす程でかい巨大な黒玉が現れた。
黒玉は跳ねてるような転がるような動きで
俺に近づいてくる。
質感はマットな感じでうっすら光沢があり、
歪んだり戻ったりしていた。
黒玉は音も立てずに
どんどん俺の方に近づいてくる。
逃げたくても
何故か俺は仰向けのまま動けない。
そしてとうとう玉は俺の足元にやってきた。
そしてほわわ~んと跳ねた。
次の瞬間には俺はその玉に潰された。
強烈な質量を感じた。
蚊が潰れるようなものだった
エアクッションの一つを潰すような
気味の悪い音で目の前が暗転
目覚めるとまた最初からだった。
同じようにまた玉はぐーんと近づいて俺を潰す、
俺は動けずに潰される。
それを幾度となく繰り返されたとき、
初めて俺は声を出した。
「もうやめてー」
みたいなことを涙ながらに叫んだ。
だが黒玉は何の反応も示さずに
俺を延々潰し続けた。
最後の方の記憶は何故か思い出せない
音をあげた時が
小学三、四年の少年の精神的限界だった。
眼が覚めた時
母親がタオルを持って横に座っていた。
随分うなされていたね、
みたいなことを言われた。
夢の事は黙ってた。
体は一体どこにこんなにあったのかって位汗まみれだった。
熱は夜には37.0℃を下回る凄まじい回復を見せ、
翌日にはいつものように学校に行くことになった。
それから数日妙に体が軽く感じたり、
デジャブの回数が以上に増えたりした。
まぁだからといって空が飛べるわけでも
危険を回避できたわけでもなかったが。
が、一月もすれば日常に戻っていた。
そもそもこれは気分と偶々の問題だと思う。
今から十数年前の忘れ難い記憶。
ただの勘違い怖い話かもしれない。
いままで数回だけ友人にこの話をしたが、
翌日青い顔をしていたのも勘違いだろう。
また明日の夜にお会いしましょう。