<最怖>拍子抜け
父から実際に聞いた話です。
木工職人だった父が
夜遅く作業場の片づけをしていると、
背後で人の歩く足音がします。
オガクズを踏みしめる
さく…さく…
という音がはっきりと聞こえます。
こんな時間に人が来るなんて。
不気味に思った父が振り返るが誰もいない。
足音も止みました。
そしてまた片づけを始めると足音が。
振り返ると誰もいない。
何度かそれを繰り返していると
だんだん面倒くさくなってきました。
いくら足音がしても振り向きません。
そのうちに相手もしびれを切らしたのか
今度はかりかりと木を爪で引っ掻くような音がします。
そこで父親が振り向くと、
どう考えても背が届かない高さの窓に、
男の顔がのぞいていました。
父が、
「なんだお化けか」
と言うと
「なんだとはなんだ」
と怒られてしまったそうです。
繰り返しますが実話です。
その後父は特に変わったこともなく
先日は釣りに行ってミツバチに刺されました。
また次の話でお会いしましょう。