<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>一人歩きした怪談

職場の近所の交差点で交通事故があった。

青信号で女の子が渡っていた途中、
信号無視したバイクが80kmものスピードで
その子に突っ込んで女の子は重体。

加害者はバイクを捨てて逃げたっていう
悲惨で酷い事故だ。

その先はよく知らないが
ガードレールの脇に供えてる花を見る限り
その子は亡くなったんだと思う。

そんな悲しい事故が起きた場所には怪談が付き物だが
やはりここにもそんな話があるらしい。

お客さんの話によると夜、
その少女が自分の足だか手だかを
探し回っているというよくある怪談だった。

ある日俺はコンビニへ買出しをする途中、
その交差点を通る事にした。

事故が起きたのは悲しいが、
それを酒の肴として笑いあう人間もどうかと思う。

最低な大人の一員として
せめて花くらいは添えてあげよう、
そう考えたのだ。

いざ例の交差点についてみると
なんの事はない、普通の交差点

ただ異様なのは
ひしゃげたガードレールの脇に供えられた。
花瓶に入った真新しい花

夜遅くなだけあって
人通りはほぼ無い

花を添え、手を合わせ
さぞ無念だったであろう少女を思い
安らかに眠れるように祈る。

・・・「    」

なにか聞こえた気がするが
辺りに人影は無いが、
遠くに通学路を示す標識が見えた。

その下に大きく児童の女の子の絵が書かれている。

あぁ、これが怪談の正体か

車で夜中にここを通ると。
目の端にこの女の子が映る。

それを面白おかしく色を足し、
さらに尾ひれが付いて
夜中体を探し回る少女の怪談が出来上がったのだろう。

少しガッカリして踵を返す。

・・・「   」

まただ
たしかになにか聞こえた。

左、右に目を配る、
がなにも見えない

後ろ・・?

・・・「   てよぉ」

いる。

確かになにかが後ろにいる。

しかも徐々にこちらへ近づいて来てる。

・・・「かえしてよぉ」

今度はハッキリと聞こえてしまった。

聴覚を辿るとすぐ後ろ、
それも背が低い女の子

これはマズイ、
と振り返る事なく前にひたすら走った。

全力疾走の上、
息も絶え絶えお店に付くと、
すっかり出来上がったオーナーが
呑気にお客さんと歌を歌っていた。

そのお客さんの前で今体験した事を話す。

「おかしいわねぇ?
確かその事故、
亡くなったのはバイクに乗っていた人の方よ?」

オーナーの話によると、
バイクの運転手が、
飛び出してきた少女を避けようとし、
ガードレールに突っ込んだらしい。

その際、ガードレールで足を切断

その後2人共々救急車で運ばれたが
運転手は死亡、少女は打撲程度で済んでいたらしい。

噂だけが一人歩きして
あのような怪談になったというのだ

では俺が聞いたあの少女の声は・・・?

「あれ?
君、頼んでた買い物は?」

え?・・・しまったぁ・・

あそこに置いてきてしまったか?

「持っていかれたのかもね」

客とオーナーは
ゲラゲラと笑い転げる。

俺も笑いに加わる事にした・・

後日もう一度花を添えに行く事にしたもちろん、
明るい内にね。

・・・・・・・

あの交差点で笑う少女の絵
添えられている花
不思議な声

今も密かにこの交差点は心霊マニアに有名らしい。

夜な夜な自分の体を捜している少女の怪談は
今日もどこかで語られているんだろう。

また明日の夜にお会いしましょう。