<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>母の帰宅

僕の家は母子家庭で、
母親が仕事から帰って来るのはいつも深夜だった。

その間、僕は受験勉強をしたりして過ごす。

24:00頃になると、
母親は仕事が終わり、
僕の携帯に電話してくる。

「今から帰る、
何かコンビニで買ってくる?」

そんな内容。

その日は

「別にないよ。」

と電話を切る。

数分後、
生活用品が切れてたのを思い出し、
着信履歴からかけ直した。

3~4コールしても出ず、

「運転中か・・・しょうがないな・・・。」

と思い、
諦めようとしたその時、
通話モードになった。

僕:「あ、もしもし。お母さん?」

母:「スゥー・・・スゥー・・・(鼻息の音)」

僕:「おーい、聞こえてる?」

母:「スゥー・・・スゥー・・・」

車の走行音や、
運転をしているような環境音は一切なし。

鼻息の音だけが受話器の向こうから聞こえてくる。

別に恐ろしくはないが、
何か不可思議な現象に困惑し僕は電話を切った。

間違ってかけてしまったか?

いや、履歴から電話したし
発信履歴も母になっている。

じゃあ、母が何かの拍子で
通話ボタンを押したのか?

鼻息が聞こえるほどの口元で?

それに走行音やら雑音がするだろうし。

回線の混線か・・・?

PCのスピーカーから
トラックの無線が聞こえることがあるように?

電話回線でもそんなことあるのか?

と、当時の僕が出した答えは、
腑に落ちないながらも混線説。

一応答えが出たことで冷静になり、
もう一度電話してみる。

履歴からじゃなく。

出ない。

やっぱり運転中なのか。

諦めて机に向かう。

参考書に目を通す。

と、もう1つの可能性を思いつき、
心配性の僕の胸の鼓動が早くなる。

もしや、事故にあったとか。

なんとか通話は押せても喋れないとか・・・?

そんな状況ならどうしよう、
母の帰宅ルートは山の麓を通る。

人目につかない。

僕は混乱していた。
警察か救急車か、それとも原付で探しに行くか?

僕は混乱していた。
心配性な上に混乱していて、頭も胃もキリキリマイ。

そうこうしていると、
母親の車の音が聞こえてきた。

「なんだ・・・よかった・・・そりゃそうだよな・・・。」

ほっとする。

車が車庫に入り、ドアが開き閉まる音。

「バタンッ、バタンッ」
と2回。

僕はちょっと不思議に思った。

いつも母が車から降りる時のドアの音は1回のはず。

それに今日は買い物もしてないはずだし、
荷物もないはず。

不思議になりながらも、
安堵していた僕は玄関まで迎えに行った。

「ただいま。」

母が帰ってきた。

荷物はいつものバック一個。

「ん。」

反抗期らしく僕は無愛想に返す。

居間に行き、電話したことを告げると、
運転中で気付かなかった、と返され
あの不思議な電話の事を話そうとしたら、
母が先に話しだした。

どうやら怖い体験をしたようだ。

「S川知っとるやろ?
ほら、こないだ4人殺された事件のやつ。」
(当時、隣町で一家四人惨殺事件があり、
死体は川に沈められていた。)

「帰りにS川沿い通ってたんよ。」

「そんで丁度死体が上がったあたりに差し掛かった時にね」

プリウスがね、
助手席のシートベルトをお閉めくださいって言うんよ。」

「誰も乗ってないのにね。
あんたこういうの好きやろ?」

僕はゾっとした。

僕の中で今までの不可解な現象が繋がったように感じ、
ゾっとした。

今思うと、
プリウスのセンサーの誤作動であろう事だが
その日の僕には、
なにか異様な恐怖が込み上げてきて
勉強どころじゃなかった。

僕は恐る恐るに母に尋ねた。

僕:「今日さ、車から降りる時さ、
ドアの開け閉め2回したよね。
なんで?」

母:「ん?1回しかしとらんよ。」

霊感のない僕の唯一の怖い体験でした。

また明日の夜にお会いしましょう。