<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>丑光井戸・掛け軸・おごめご様

「丑光井戸」

実家の裏にある無名な山ですが、
奥深くに古ぼけた井戸があります。

子供の頃に井戸の中を覗いたことがあり、
その時に不思議な現象が起こったという記憶があります。

真昼間に井戸に首を入れ、
奥深くを覗いたのですが特に何も無く、
それから、井戸から首を出し、周りを見廻すと、
真夜中に変わっていたのです。


今、思い出すと、
そのような記憶しか残っていませんが、その後、
最近になって、その井戸のことについて調べてみたのですが、
その井戸は古くから、

「丑光井戸」

として祭られており、夜になっても
井戸の中は昼間の様に明るくなるという言い伝えがあり、
それに関係があるのかもと思った次第です。

「掛け軸」

俺の家には嫌な絵がある。

いわゆる掛け軸で、
作者不明で描かれているのはショウキだった。

俺の家にあるというのはちょっと大げさで
今は地元の神社にある。

この絵は俺の親父が子供の頃に
俺の祖父が知り合いからもらってきたものである。

もらったいきさつは祖父の知り合いが亡くなって、
その奥さんからぜひもらってほしい
と言われたといったものだ。

しかし、生前故人と
さして親交が深かった訳ではない祖父が貰い手になったのは
実は厄介払いの為だった。

というのもその絵の持ち主は
必ずごく自然な形で死ぬ(心臓発作とか)からだ。


ちなみに故人もどこからか譲り受けたのだが
その前の持ち主もやはり若くして亡くなっている。

その前も多分そうなのだろう。

曰く付きの絵、
ということだが
祖父は大変気に入っていたという。

手放すきっかけとなったのは、
俺の親父がかわいがっていた鳩が
1羽残らず突然に死んだからだ。

さすがの祖父もこれには気味悪がったらしく
地元の神社に納めたのだった。

ところで、その神社は地元では有名で
だいぶ前に二回ほどテレビの取材がきたことがある。

そこの神主さんは
俺の七五三のときにはだいぶ年を取っていて
読み上げる祝詞なんかはカセットテープみたいだった。

町の歴史に強く、
相談事には親身にのる神主さんだったが
祖父のこの絵の件に関しては固く拒んだらしい。

祖父は祖父でこんな絵を持っているのは嫌だったので
本気で土下座してようやく預かってもらえることになったそうだ。

ここで、その絵と俺の家との関わりはいったん途切れる。

関わりが復活したのは俺が小学校5年の頃だ。

当時の俺は始終
狐に憑かれたような悪ガキだった。

神社でよく仲間と木登りをしていたのだがある日、
神主さんにトッ捕まって
社務所の奥の座敷に連れて行かれた。

聞かされるのは優等生だった俺の親父の話で
いかに俺がバカかを諭す内容だったのだが
思い出したように神主さんは例の絵の話を始めた。

俺は聞かされたこともない話に
夢中でその絵を見せてくれと頼み込んだ。

神主さんは渋々見せてくれたが
その絵のすばらしさは
本当に国宝級だと子供心に思った。

そして、神主さんが話した話は
何となく言いにくくて親類の誰にも話せなかった。

以下神主さんの言っていた内容を書いてみたい。

「異常に無駄な空白部分に
薄く雲の絵が書いてあるのが見えるだろうが
一見するとただのシミだ。
昔はたいそうな絵であったに違いがない。
ただ絵の具の代わりに使ったものが問題だ。
多分何かの血だろう。
絵の具の部分だけうまく残って
ショウキの絵にはなっているが本当は多分違う。
凝縮された地獄だ。この世の果てだ。
この絵そのものが呪詛だ。
この絵には対になる絵があと六枚はあるはずだが
残りの絵も同じだ。私は見たことはない。

死んだ祖父が子供の頃語ってくれたものとよく似てるんだ。
引き受けたくなかったんだよ。
清めた縄が半年もしないうちに腐って土になるような絵なんか。
描いた人の落款がないのも当たり前だ。
呪う奴がわざわざ自分の名前を残すなんて聞いたこともない。
箱だけが新しいが元の箱は必ず何か言葉が描いてあったはずだ。
古い忌まわしい言葉が。
その箱さえあれば絵の真相を知ることができたろうに。」

最後に二つ
シメとして書きたいエピソードがある。

祖父が死ぬまえ、
病床で俺は祖父と二人きりになったことがある。

祖父は痛み止めの注射でうわごとしか言わなかったが
少しだけ目が覚めて、
大学生だった俺に言った言葉がある。

「言葉は人間が作り出した一番古い意思の伝達の方法だ。
人を怒らせるのも悲しませるのも
笑わせるのも喜ばせるのも言葉があるからできる。
言葉は人の気持ちを動かせることができるんだ。
だからお前は人の気持ちを考えて、
よくよく考えてから物事を言いなさい。
いいか、言葉は人に聞かせるものだとは限らない。
神様にも通じるんだ。
祝詞はそうだろう?
古い言葉で意味はわからないだろうが
あれは神様とお話しする為の言葉だ。
同じように呪いの言葉だってある。
秘密にしすぎて忘れただけなんだな。
あと言葉には力があるが、
念を込めて人が作ったものほど怖いものはないんだ。
何かの目的の為に人が
一心不乱に作り上げた何かが場合によっては一番怖いんだ。」

それを俺に語った祖父は話し疲れて寝てしまった。

もう一つ、あの絵のことだが、
雲に見えていたのは
雲ではないとあるとき気がついた。

雲のように見せて描いた地獄絵だと。

完璧な状態のその絵は人の心をつかんだのだろう。

よく見ればそれは地獄絵なのに。

確証はないが多分そうだと思う。

祖父も死に際の意識が混濁しているときに
あの絵の世界を見ているような節があったからだ。

「骨が丸い。」

そんな言葉をつぶやいていた祖父が少し怖かった。

「おごめご様」

おごめご様というのがいる。
と、従妹から聞いた。

なんでも小学校に出るらしい。

その小学校には俺も通ったんだが、
旧館と新館に分かれている。

その二つの棟をつなぐ渡り廊下の側、
植え込みの陰に隠れるように、
ぽこんとした岩が置いてあった。

一抱えもある、
黒っぽくてまるっこい、
何の変哲もない岩だ。

俺がいたころは墓石だという噂があって、
誰も触ろうとしなかった。

六年生の誰それが肝試しでその岩を蹴っ飛ばしたが
交通事故にあって目が見えなくなったとか、
昔二階の廊下(二階にも渡り廊下があった)から落ちたやつが
この石で頭を割ったとか、
岩の下には子供が埋まってるとか、
まことしやかに囁かれていたものだった。

どうやらその岩が新たな変化を遂げたらしい。

このGWにお茶工場をしている祖母を手伝いに
田舎に帰ったときのことだ。

従妹が目を輝かせて
内緒話をするように俺に話しかけてきた。

従妹「おごめご様って、兄ちゃん知ってる?」

俺「いや知らん。なに?」

すると従妹はあからさまに落胆した顔をした。

良く聞いてみると、

『学校におごめご様が出る。
クラスでおごめご様はいい神様か悪い神様かで揉めた。
卒業生の兄ちゃんなら知ってるだろうと思った』

ということらしい。

おごめご様なんて知らなかったので
詳しく聞いてみると、どうやら俺たちが
墓石だの何だのと言っていた、
あの岩のことらしい。

従妹「おごめご様はね、いい神様なんだよ。
おごめご様にちゃんとお願いすると
何でも叶えてくれるんだって。
yちゃんとtちゃんが試したってさ」

従妹が一生懸命言う。

ふーん、あのおっそろしかった岩が、
今じゃ子供らの神様かー…
と何となく懐かしいような気分になった。

俺「へー。…ちゃんとってなに?」

従妹「あのね、おごめご様の前でね、呪文をとなえてね、
おごめご様の頭と足を撫でながらお願いを言うの。
それでまた呪文を言って、
叶ったら自分の髪の毛をおごめご様の後ろに一本おくんだよ」

またずいぶんオカルティックな。

呪文というのはまず始めに

「カマカマカマ」、

おしまいに

「コモコモコモ」

だという。

頭は岩の天辺、
足というのは岩の下の方。

こりゃ絶対高学年のオカルトマニアか誰かが作ったな…
と思いながら、ふと気になったことを聞いてみた。

俺「ゆき(従妹・仮名)は
おごめご様はいい神様だと思ってんの?」

従妹「当たり前じゃん。
お願い叶えてくれるんだよ」

俺「じゃあさ、悪い神様だって言う子たちは、
なんで悪い神様だと思ったんだろね」

すると従妹は思いっきり顔をしかめた。

従妹「…おごめご様がお化けだって言う子たちがいるんだよ。
おごめご様が出たって言うの」

俺「…どんなの?」

従妹「渡り廊下の隅っこにね、
白い子供が仰向けに寝てるんだって。
大の字に広がってて、頭だけこっちを向いてて、
それで『めごめご、おごおご』って言うんだって。
だからおごめご様なんだって」

従妹がへったくそな絵を書いてくれたんだが、
それがまた何とも言えない怖さだった。

おごめご様は頭をこちら、
足を反対側に向けて寝転がっている。

その頭がこう、
くっと立てられているのだ。

首だけでブリッジしたみたいな感じ。

従妹「最近おごめご様が出るからって、
下の廊下通んない子もいるんだよ」

どうやらこのおごめご様は
いい神様にしろ悪い神様にしろ、
相当学校ではやっているようだった。

その場は祖母からお呼びがかかって
お開きになったのだが、
面白くなったのはその後だ。

結局学生の気楽さで、
平日も自主休講して二日から六日までお茶の手伝いをし、
明日は帰るかと言う五日の晩だった。

従妹(家はすぐ近くだがこの時は泊まってった)はもう寝ており、
ばあちゃんと父母、俺で、
夕食後にのんびり酒を飲みながらだべっていた。

大方はお茶の話で、
今年は三月から冷えた日が続いたから
今一葉っぱの出が悪かったとか、
この辺ももうお茶を継ぐ人がおらんで大変だとか
そんな愚痴みたいな話をしていたんだが、
その内にふっと思い出しておごめご様の話をしてみた。

俺「そういやさー、ゆきの学校でさー、
なんか変な神様がはやってんだって。
おごめご様とかいってさあ」

するとばあちゃんがぎょっとした顔をした。

俺「?」

祖母「それ、本当か?おごめご?」

俺「らしいよ。よく分かんないけど、
願いを叶えてくれるやらお化けやら諸説出てるって」

祖母「………はあー、
まさかゆきはさわっとらんだろね」

ばあちゃんは
何だか本当に驚いたような顔をしている。

父母がきょとんとしているので、
俺は二人におごめご様の説明をした。

父は膝を叩いて言った。

父「あー、知ってるぞそれ。
俺のときは何だったかなあ。
なんだか新館を建てる時に山を削ったら
山の中にあの石があって、
邪魔だからって掘ってみたんだな。
そしたら下から壷に消し炭だか骨だか入ったのが出てきて、
こりゃなんだか曰くのあるもんだろうっつって
お祓いして岩をあそこに動かしたとかなんか、
そんなんじゃなかったかな」

初耳だった。

墓石というのも
満更ガセではなかったらしい。

聞けば俺たちが噂していた二階から落っこちたやつは
親父の四つ上の男子だと言う。

窓の側でふざけていて、
身を乗り出しすぎて落ちたらしい。

確かにあの岩に頭をぶつけて危なかったが、
死んではいないという。

父「ばあさんも知ってるのか、
アレ。子供だけの噂だと思ってたわ」

するとばあちゃんは呆れた顔をした。

祖母「知ってるも何もあんた、
ありゃSんとこのモンだい。
S、ほら、じーさんのハトコが
跡とってからすっかり潰れたろ。
山ももう持ってられんくなったんだな。
ちょうど学校を広げるっつうから県に売ったんだ。
近所でもずいぶん止めたけえが聞きゃあしない。
ほいで山潰して学校にして、
すぐSの家屋敷も焼けちまったろうが」

Sというのはこの辺に多い名字で、
今話題になってるのはウチの裏手の方、
山際のS家だ。

さいころからあんまりいい噂は聞かない家だった。

焼けたという割には立派な家に住んでいるが。

祖母「それでまー、うつす時も大変だったよう。
わざわざヨソから拝む人連れてきてさ。
だから触るなっていったのになあ」

俺「え、その山にあったのって、
なんかまずいもんだったの?」

あまりにばあちゃんが嫌そうに言うので、
思わず尋ねると、
ばあちゃんは顔をしかめて言った。

祖母「あれはさ、Sのとこで持ってたモンだで、
何でも子供の神様でさあ、
よっく祟るんだなあ。
母ちゃんに良く言われたよう、
Sの山には入んなって」

俺「あれってオゴメゴって言ってたの?
昔から」

祖母「おごめごったら男の子と女の子のことだな。
ウチらはなんて呼んでたかなあ、
やっぱりオゴ様とかオゴメ様とか言ってたな。
Sと仲いい家ってなかなかないだろ、
祟られるからだろて」

ここから先は
学校の増築を推進した地主の家の悪口やら
山の値段が下がった話やらになった。

以上で大体話はおしまい。

元々はSの家の神様だったのが学校の中に移って、
しかも学校の怪談になっているのが
俺には面白く思えた。

それにしても、
親父のころも俺のころもおごめご様なんて言わなかったのに、
なんで今になってそんな名前が出てきたんだろうか。

神様の方は誰かの創作だとして、
お化けの方のおごめご様って、
誰か見た人がいるんだろうか。

つうかおごめご様って何よ?

謎は尽きないがとりあえず終わり。