<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>サカブ

秋田のマタギたちの間に伝わる話に
「サカブ」というのがある。

サカブとは要するに
“叫ぶ”の方言であるが、
マタギたちがいう「サカブ」とは
山の神の呼び声を指すという

山の神は時たま、
その神力を持ってマタギたちに
「サカブ」ことがあるという

秋田県北秋田市に住む
山田岩蔵という老マタギの表現によると、
山の神の声は

「細く堅い声で、
遠い遠い処で響く鉦の音に」

似るという。

岩蔵マタギは人生で二回、
この山の神の声を聞いたそうで、
頭を強打して気が遠くなった時のような、
耳鳴りのような、
どちらかといえば振動、
あるいはテレパシーのようなものであったそうである

山の神の「サカブ」はだいたい吉祥であり、
しかも集団で狩りをしていても全員には聞こえず、
その狩猟組の頭領(スカリ)か、
もしくは一、二を争って腕の立つ者にしか聞こえない

東方より聞こえる「サカブ」が最も良く、
その方向に進むと必ず獲物を授かったという

あるとき、大平山奥地のイグス森という場所で、
あるマタギがこの「サカブ」を聞いたという

それから「サカブ」の示した方角に二里余り進むと、
果たしてそこには今までに見たことがないような巨熊が居り、
捕らえてみると七尺五寸を超える、
ツキノワグマとしては規格外の大物であったという

また不思議なことに、
この「サカブ」はマタギだけでなく、
留守を待つ村の者たちにも時折聞こえる

そんなときは必ず猟の成果があった時であるので、
そんなときはいち早くマタギ衆を迎える準備をするという

山峡の人々に聞こえる不思議な神の声の話

また次の話でお会いしましょう。