<最怖>この世で最も怖い話まとめ

この世で最も怖い話をまとめています。毎日19時20時21時に1話づつ投稿。あなたを恐怖のどん底に落し入れます。朗読もはじめましたのでそちらもどうぞ。

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<最怖>音を必ず聞け

空はすじ状の雲に真っ赤な夕焼け。

輪郭がやっとつかめるくらいの薄暗い教室で、
kは一人で窓の外を眺めていた。

kは僕の一番の親友である。

僕が教室に入るなり、

「明かりはつけなくていいよ」

kは言った。

「え?暗くないの?」

「大丈夫、そのうち目がなれるから。それよりこっちに来てくれないか」

女子の着替えでも見えるのかな?と僕は思った。

なぜなら、我がバトミントン部の夏合宿は毎年男女合同で行い、
合宿最終日の今日の練習を終えて、
部員たちは帰宅する前のシャワーを浴びているころだったからだ。

暗闇に慣れてきた興味津々の僕の目に映ったのは、
とても不安そうな顔をしているKだった。

どうやら女子の着替えが見えるわけではないらしい。

それにKの視線は向かいの校舎の窓ではなく、
その手前にある中庭だった。

「何を見てる・・」

「静かに」

Kは僕の声をさえぎった。

kの指差す先、中庭の(少し荒れた)花壇の地面から
20センチほどのところがぼうっと白く見える。

(あれは何だ??)

夕日は完全には沈んでいない。

でも、その一部分に夕日が差し込んでいるわけではない、
その花壇は完全に校舎の影にはいっているのだから。

それは間違いなく、人間の足の輪郭だった。

花壇の花の上で、人間の足、正確にはつま先からひざあたりが
うすぼんやりと浮かび上がり、そこから先はすぅっと消えている。

向きからすると、まっすぐにこちらを向いているようだ。

と、それは突然消え、その後薄暗い闇の中

「カラカラ」

と何かが転がっていくような音が微かにした。

僕は一瞬驚いたが、そのあと、
ぞっとするような不安が湧き上がり、声もでなかった。

そして、kの体は小刻みに震えていた。

「音、聞いた?」

kが言った。

「ああ、カラカラって・・でもあれ、なんだ??」

「そうか。聞いたか・・」

なぜかkはほっとしているようだった。

「あれな、・・おまえのところに行くと思う・・」

「え?」

僕はkが何を言っているのか理解できなかった。

「ごめん・・お前は俺の親友だから・・。
でも大丈夫、安心しろ。
ただし俺の言うことを良く聞くんだぞ。
さっきは足だったろ?」

確かに足の輪郭が浮かび上がっていた。

正確にはひざまでだが。

「あ、ああ、足だった・・」

僕は不安げに答えた。

「次は腰までだ」

え!?なんだよおい!次があるのか?

それにターゲットは僕なのか!?

なんで僕なんだ、と問いただそうとしたが、

kの真剣な、ただならぬ表情を見てその言葉を飲みこんでしまった。

kは続けた。

「腰の次は肩だ。その次はあごまで現れる。
いいか、その都度必ずあの「音」を聞くんだ、
あの「カラカラ」という音を必ず聞け。
聞くまではその場を離れては絶対にだめだぞ。
それから、このことは人には話さないほうがいい。
友達を巻き込みたくなかったらな。」

「わかったよ。でも、もし音を聞き逃したら?その時はどうなるの?」

「その時は・・顔だ・・顔まで現れる・・そうなれば・・」

・・・・・・・・・・・・

これはこの夏の出来事です。

その後、kが言ったとおり彼女は現れました
(少し小柄な感じのワンピースを着た女の子だと分かりました)

今日までに肩まで見ています。

見た場所は、「腰」の時が体育館の用具入れの倉庫。

「肩」の時が最初の中庭の、ほぼ同じ場所です。

時間はいずれも夕方でまだ日が沈みきっていない、
でもかなり薄暗くなっている時でした。

それを見た瞬間は息もつけないくらい怖かったですが、
kの忠告どおり「音」を聞くまで立ち去りませんでした。
(それをkに言ったら「よし」と誉めてくれましたが)

なんとなく分かってきましたが、普段は人がいてにぎやかなんだけど、
ふっと人の気配が無くなる、そんなタイミングがあるんです。

そういう時なんです。彼女を見るのは。

なんで「音」を聞くまで立ち去ってはいけないのか、
顔が現れ、それを見たらどうなるのかkは教えてくれませんが、
「事が終わったら」全部話す、と約束してくれました。

どういうことなのかkに聞いたらまたこちらに書こうと思います。

でも不思議なのです。

最初はとても恐ろしくておびえていたのですが、
最近彼女の顔が気になって眠れないのです。

次にあごまで現れた時、もし「音」を聞かなければ、
僕は彼女の顔をみることが出来る。

そう考えると妙に胸が高鳴るのです。

また次の話でお会いしましょう。